書籍

こうして花の名前をしらべて一日が終わるのだ。

「これは、文字通り『まだ書かれていない本』、言い換えれば、『これから書こうとしている本』で、そのうちのいくつかはタイトルも決まっているし、頭の中には、すでに声や情景のようなものが断片的に居座っています。しかし、まだ、ひとつの物語、一篇の詩としては成立していません。言葉が少しずつ集まって語り始めようとしている・・・そういう段階にあります。」
(前書きより)


小説や詩になる前のことばを、ここにそのまま、なにものでもない声のまま並べ、一口で食べられる菓子を並べたようにならないものかと夢想したのです。それは博物館の展示物ではなく、隙間からほんの少し覗いた未来のかけらです。まだ書かれていないこの本は、きっと小さなものと静かなものについて書かれた本になる・・・。夢のつづきと物語のはじまりの小文集。


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<関連書籍>
『なにごともなく、晴天。』
『フィンガーボウルの話のつづき』