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噓がつけない人

CH022-006

噓がつけない人

著者/大竹昭子
出版社/カタリココ文庫
サイズ/80ページ 15*10.5cm
発行(年月)/2021年10月

販売価格 ¥ 990(本体 ¥900)

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位置というもの自体がわからないんです

小山田浩子と大竹昭子による対談と、両者が書き下ろした二篇の掌篇、「骨董」と「裏焼き」を収めたこれまでにないスタイルのカタリココ文庫。

小山田の小説作品に描かれているのはごく日常的な光景ですが、読み進むうちにあたかも風景を構成するピースが置き換わり異次元に侵入していくような感覚に引き込まれます。

既知の世界を未知のものに誘導していくのは、全体を俯瞰せずに対象に密着して描いていく改行のほとんどない独特の文体です。改行しないのではなくて、出来ないのだ、と小山田は述べます。ふつうに考えたら簡単なはずの改行を入れることがなぜ困難なのか。小山田作品の核心はここにあります。対談ではその謎を幼少期の記憶を遡りながら解いていきます。文章を書く行為は、なにを描いて、なにを描かないかを選ぶことにより成り立っていますが、この選択を彼女がいかに誠実に、厳密におこなっているかが読み進むにつれて明らかになるでしょう。

掌篇の「骨董」と「裏焼き」は一枚の写真を手がかりにそれぞれが書き下ろしました。打ち合わせをせずに自由に創作しましたが、二篇とも写っている人物についての物語ではなく、写真という存在そのものに想念をはせる内容になったことを興味深く思います。このように、同じ写真を見てふたりの作家が作品を書き下ろすというのは、あまり例のない試みです。掌篇パートの冒頭にその写真が載っていますので、写真と掌篇がどのように関わっているかをお楽しみください。

表紙に使われている装画は、小山田のこれまでの作品集と同様にフィリップ・ワイズベッカーの作品を使用。また『嘘がつけない人』というタイトルの由来も本書のなかに見つかります。

小山田作品のファンにとってはもちろんのこと、これから彼女の作品に出会う人々にとっても、本書がその作品世界により深く降りていく吸引力となることを願ってやみません。

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<関連書籍>
『五感巡礼』
『絵のうら側に言葉の糸をとおす』
『スナップショットは日記か?』
『室内室外 しつないしつがい』
『超二流の写真家』
『美術と回文のひみつ』

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