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9784582838800
たぬき
作/いせひでこ 出版社/平凡社 サイズ/44ページ 20*27.5cm 発行(年月)/2021年11月
販売価格 ¥ 1,760(本体 ¥1,600)
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わが庭は たぬき村になるのだろうか
〈お日さん、あったかいねえ〉 〈かあちゃんみたいだねえ〉 2011年の春、絵描きの家の庭にあらわれた、たぬきの一家。産む、育てる、いのちの絆の物語は、やがて別れと旅立ちへ。小さなからだ全身で「生きる」たぬきたちと、絵描きとのまぼろしのようなおはなし。 「ヒトも動物も木々も草花も、生きるために生まれる。あるがままの「いのち」を描きたいという思いが、心のそこから湧き起こっていた。そしてこの本の表紙の絵が生まれた。「生きる」方向を見つめる目、目、目。そして、現実と幻術との境目がわからないまま、「たぬ記」に綴られた日々を絵で再現していったら、たぬきが山盛りの絵本が描きあがった。」 いせひでこ(本書、あとがきより) この絵本『たぬき』はいまから10年前、東日本大震災の年の春に、画家・絵本作家のいせひでこさんの家の庭に現われた、たぬきの一家のお話です。 3月11日、思ってもみない大地震と、それにともなう原子力発電所の事故がおこりました。いせさんはその日から、地震の記録、原発事故の報道などを小さなノートに記していきました。4月、近所の公園や道路で、たぬきらしき姿を目にするようになりました。5月末、朝、デッキの上のスリッパや靴が動いていました。6月の夜、デッキの人感センサーの明かりに、もそもそ動くたぬきの子と親が浮かび上がりました。6月以降、「地震日記」は〈たぬ記〉と手製ラベルを貼った観察日記になっていきました。 〈たぬ記〉には、鉛筆やボールペンのやわらかな描線で、たぬきたちの行動、成長、変化という、見たことのない日常が描かれていきました。頻発する地震のなかで育っていく子たぬきに、「生きて」「生き抜いて」という祈りにも似た思いが重なっているように思えます。 小さな毛衣(けごろも)だった赤ん坊が、成長するにつれ個性が出てくること、ふわふわ、もふもふとした毛並み、庭の小さな森の緑の深さ、草や花や鳥たち、家族のゆくすえなど、ページをめくっていくたびに、思ってもみない展開に東日本大震災の年の、春から夏にかけての、まぼろしのようなお話です。
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