JavaScript を有効にしてご利用下さい.
カートを見る
|ログイン|
|新規登録
9784834024159
あやとりの記
作/石牟礼道子 出版社/福音館書店 サイズ/368ページ 17*13cm 発行(年月)/2009年3月
販売価格 ¥ 825(本体 ¥750)
購入数
カートに入れる
この本一冊のみのご注文の場合、送料210円にてお届けいたします。※代引きでのお支払いの場合、また他の本と複数冊でのご注文の場合の送料はこちら。
耳澄ませ、耳澄ませ
幼いみっちんが見つめる世界は、自然も、ひとも、不思議な美しさと優しさに満ちている。一本足の仙造やん、馬の萩麿、火葬場の岩殿、「あいさつのよい」ヒロム兄やん、懐にいつも犬を入れている犬の仔せっちゃん、そして祖母であるおもかさま・・・。山や海には「あのひとたち」がいて、森羅万象とつながり、交信しているかのよう。 なにしろみっちんときたら、 木登りがなにより好きなのでした。 山に薪を採りにくる小母さんたちが、 楊梅の木や、ルビーのような色の ほの甘い実をつける一位の木に、 ちょこんと登っているみっちんを見上げて、 山童だと勘違いしたくらいです。 そうやって腰かけていると、海の方からやってくる 風の通り道がよくわかります。 みっちんは胸がずくずくするのをおぼえました。 川という不思議なものは、 いったいどういうふうにはじまっているのか、 とても柔らかい、いのちのはじまるところへ、 連れてゆかれそうな気がしたからです。 すると爺さまの目の先に、 こちらの躰の色も照り返されるのではないかと思うほど、 あたりに輝よう黄金色の大銀杏が、 風の鳴る中に立っていました。 それはなんと巨きく荘厳な姿だったことでしょう。 ひと目見てみっちんは、神さまの木だと思ったのです。 銀杏の木は、舞い散る葉っぱに幾重にも包まれて、 自分を照らしだしているように見えました。 爺さまは、木の前にゆくと、 腰にたばさんでいたあの鉈をとりはずしました。 「拝もうぞ」 しいたげられがちな人こそが、「よか魂」を持ち、魂のよい人間ならば、神と話すことができるのだという世の神秘が、あたたかみある熊本方言を交えてつづられる。ことばが、読む者の五感を刺激する。頭の中でリズムが刻まれ、景色が、そして世界が広がっていくさまを体感してほしい。『苦海浄土』の著者・石牟礼道子さんが自伝的に描いた、たぐいまれな児童文学。子どもから大人まで、存分に愉しめる。
送料について
オンラインショップ
定期購読 絵本便
お知らせ
イベント
スロウな本屋について
お問い合わせ