絵本

みんな、もどってこんかぁ

松の木が一本、海辺の小さな家のそばにあった。漁師家族が、貧しくとも幸せに暮らしていた。毎日食卓には魚があがったが、雨が降れば漁に出られず、おなかのすく日もあった。

町に大きな工場ができた。生活を安定させるため、漁師だったお父さんは、工場で働くようになった。やがて、町では植物や動物がおかしくなりはじめ、さらに、小さな家族を悲劇が襲い・・・。

松の木の視点で描かれる、水俣の物語。本書は、2011年創英社より刊行された後に、水俣病患者・支援者らの声を反映させ、新たに加筆修正した改訂復刻版。水俣病が命名されて60年が過ぎ、その記憶は次第にひとびとの記憶から遠ざかってきた。しかし、公害の問題は現在も形を変え、続いている。世代を越えて、未来を担う子どもたちに水俣病を語り継いでいきたい。