書籍

子どもと大人は何が違うか。

詩人 長田弘さん(1939～2015)は、逝去される2015年5月までの11年間にわたり、読売新聞「子どもの詩」の選者を務めていた。選んだ子どもの詩に添える「選評」だけを独立した一冊にまとめ、『語りかける辞典』という書名で出版したい。それが長田さんの遺志だったという。それを実現したのが、本書である。

ひとつひとつの選評を、独立させて読むと、長田さんの想いは「短詩」そのものであった。「短詩」は五十音順に分類され、〈辞典〉のような構成だが、その内容は、長田さんが語りかけてくるようなことばが詰まった〈詩集〉。詩人の信頼厚かった画家 いせひでこさんの絵が、すべての見開きに添えられる。ことばが、空から降ってくる。


　　「そうか。手にぎゅっとにぎっているのは、希望なんだ。
　　だから、赤ちゃんの手は温かいんだね。」


　　「消しゴムで消せるものより、
　　消せないものが、いっぱいふえていくのが、
　　人生という自分のノート。」