絵本

何か魔法を使わなければならないのだよ

作家である私は、北イタリアの名所・クジオのオルタ湖畔で創作のための取材をしていた。桟橋で物語の舞台について構想を巡らしていると、足にフィンをつけたスイマーから声をかけられる。近づいてきたのは、ポラローリという名の会計士。話しかけないでほしいと思っている私に、彼は熱く語りはじめる。身につけているフィンが特別なことや、魚になるためにトレーニングをしていることなどを。私は「マトモじゃない」という言葉を必死で頭から消して、彼の熱弁に耳を傾けるのだった……。

イタリアで「子どもが最初に手にする本」と言われるイタリア児童文学の巨匠ジャンニ・ロダーリ。『パパの電話を待ちながら』　『緑の髪のパオリーノ』 に続く3作目の本作は、数行の詩から散文詩、短いおはなし、中篇が60篇も詰まっている。一冊でロダーリ文学の多様性を愉しめる。


<目次より>
●自由な動物たち
進め!若エビ
コジキヘビ
ぼくの雌牛
アリ的ライフ
おとぎ話のなかの動物園

●陽気な毎日とめぐる季節
あれこれ乗せて、電車が来るよ
雪だるま
新年
よい魔女さんへ。三つの歌
カーニバル
雨のあと
春の歌
めぐる季節
秋
嵐
ぶどうの収穫
クリスマスの魔法使い
プレゼピオのインディアン
クリスマスツリーに巣を作りたいスズメの祈り

●旅と出会い
魔法使いビレーノ
海へ行くパッケット
マルコとミルコとツイていないドロボウと
クジオのさかな会計士
アリーチェ・コロリーナ
とても小さな家
〈でない〉が言葉の頭につく国
砂糖人間
宇宙船
コモの大聖堂の上で
マチェラータのある人
北極のスミレ

●私たち子ども
野菜スープ
ジェラート
チョコレートの道
学習キャンディ
えらいのは誰?
本の歌
ラジオ
ミダス王
テレビドラマ
さかさま童話
アポストロフォ
てんてんファミリー
ガルダの針
はてなマーク
ゼロの勝利
9を下ろして
かさ
切手の発明
路面電車は退屈
おしゃべりな家
咳き込むヴェスヴィオ火山
川からくれぐれもよろしく

●大きくなったら何になりたい?
仕事の色
消防士
鉄道員の歌
交通警官
特派員
街の清掃人
仕事の匂い

●訳者あとがき

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<関連書籍>
『パパの電話を待ちながら』
『緑の髪のパオリーノ』