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書籍

文学は地球を想像する

9784004319887

文学は地球を想像する

著者/結城正美
出版社/岩波書店
サイズ/248ページ 17*10.5cm
発行(年月)/2023年9月

販売価格 ¥ 1,056(本体 ¥960)

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知らない土地に来たらまず「耳を傾ける」

環境問題を考える手がかりは文学にある。ソロー、石牟礼道子、梨木香歩、アレクシエーヴィチ、カズオ・イシグロらの作品に、環境をめぐる文学研究=エコクリティシズムの手法で分け入ろう。人間に宿る野性、都市と絡みあう自然、惑星を隅々まで学習するAI──地球と向き合う想像力を掘り起こし、未来を切り開く実践の書。


<目次より>
まえがき
  想像力の危機は環境の危機
  物語の力
  本書の構成

序章 エコクリティシズムの波動
  環境危機と文学研究
  エコクリティシズム宣言
  「環境批評」や「文学と環境」という別称
  実態と言説のあいだ

1章 近代化、わきたつ野性――綴り直される感覚
 1 ネイチャーライティングと散歩者の夢想――ヘンリー・D・ソロー『森の生活』
  自然を知るということ
  私という社会
  歩くという実践哲学
  野性を映す過剰の文学
  野性にこそ世界は保たれる
  ネイチャーライティングとは
 2 山の身になって考える――アルド・レオポルド『野生のうたが聞こえる』
  科学と美の融合
  美が心の目をひらく
  自然保護から土地倫理へ
  凶暴な緑色の炎
  〈生存の文化〉と〈進歩の文化〉

2章 森を出て環境を知る――〈自然らしさ〉という神話
 1 自然は逃避先なのか――生の網の目、搾取の網
  自然志向に関する誤謬
  環境正義エコクリティシズム
  ポストコロニアル的転回
  アフリカの国立公園が意味するもの
  アメリカの国立公園が意味するもの
 2 都市のなかの自然――『兎の眼』と『オレンジ回帰線』
  ハエと少年
  きれいは汚い、汚いはきれい
  空き地と基地
  北回帰線が動くとき
  境界をかき回す
  ホームとしてのフリーウェイ
  危惧される〈経験の絶滅〉
  技術圏の自然

3章 危機が叫ばれる時代に――つくられた共生、生きられた共生
 1 「自然との調和」を再考する
  「自然との調和 」はエコロジカルなのか
  生物多様性国家戦略にみる〈共生〉のレトリック
  プラスチック・ワードのなめらかさ
  連なるいのち、あるいは、生きものを殺して食べる罪の自覚
 2 切れないいのち――石牟礼道子『苦海浄土』
  「水俣病わかめといえど春の味覚 」の過剰さ
  海とともにある人
  ビオスに還元されないいのち
  絡まりあいの多声性
  水俣という場所、マルチスピーシーズの里山・里海
 3 暮らしのなかの脱成長――梨木香歩『雪と珊瑚と』
  真似したくなる節度ある豊かさ
  経済成長社会に幻視される別の道
  「チーム ・自分」の共同体
  手から生まれる快楽と連帯

4章 人新世を考えるために――〈人間以上〉を描く作家たち
 1 核の時代の祈り――スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチと小林エリカ
  メタ言語としての科学技術
  放射能発見からたかだか一二〇年
  廃棄と封じ込めの思考
  誰にとっても未知の場所
  見えない光への感応
  官能の境界侵犯性
 2 人工親友がいる日常――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』
  画面の向こうには何があるのか
  AIの記憶にみる他=多のふるまい
  機械から仲間へ
  技術圏のトリックスター
  ロボットに人間らしさが感じられるとき
 3 惑星規模の思考へ――多和田葉子とリチャード・パワーズ
  人間による、人知を超えた、ありふれた危機
  地球に同調する子どもたち
  まるい地球の曲線に沿って考える
  いつまでも地球のお客さん気分でいちゃいけない
  活動的な静寂、あるいは人間の擬樹化
  技術圏で森の身になって考える

終章
  想像力の再調整
  危機とともに生きるために

あとがき
引用参照文献

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