スロウな本屋 オンラインショップ

カートを見る

新規登録

書籍

ピアノより大きなピアニスト

9784622096399

ピアノより大きなピアニスト

著者/武藤洋二
出版社/みすず書房
サイズ/226ページ 19*13cm
発行(年月)/2023年11月

販売価格 ¥ 4,950(本体 ¥4,500)

購入数 

カートに入れる

この本一冊のみのご注文の場合、
送料210円にてお届けいたします。
※代引きでのお支払いの場合、また他の本と複数冊でのご注文の場合の送料はこちら

私に花を贈らないでください

マリーヤ・ユーディナ(1899-1970)。スターリン本人を手紙で批判して銃殺されず、リヒテルなどが「太陽のように崇めた」ロシアの伝説的ピアニストである。
二枚の黒衣しか持たず(一枚は演奏会用)、年金をすべて貧しい人、助けを求める人に使い、自分は病身で借金まみれ。冬物のコートがなく、リューマチなのに満足な靴もなく、賃貸のピアノの借料が払えない。無防備が人生の原則で、人の不幸を知ってしまったら、財布にいくらあるかを考えない。自分の心を裏切らない、意に沿わないことはやらない。最後まで他者救済に自分を活用し、ピアニスト以前に人間であった。

庵に住んで「窓の月」を唯一の持物とした良寛。「丈夫ナカラダ」に憧れながら、農民のための肥料設計に命を削った宮沢賢治。ベートーヴェン、カザルス、チェーホフ、石牟礼道子、樹木希林など、私たちにもなじみのある〈群像〉とともにユーディナの生き方を描く。

人の嘆き、悲しみ、おののきを自らのものとするピアニストの音色。ユーディナの演奏は内的な力が外へと放熱し、音楽そのものとなって彼方へと向かった。
専門にとじこもらず、命を使う場がピアノより大きかった比類なきピアニストの光跡。


<目次より>
序 冷凍飛行
第一章 白いカラス
第二章 犬にも暖かさを
第三章 赤の他人の命
第四章 「私はまず第一に人間である」
第五章 生活と暮らし
第六章 「皆濁り」
第七章 「よく用いられた一生」
第八章 自分と身分、あるいは交響曲第七番
あとがき
人名索引

pagetop
×