書籍

生きているって、このことなのかな

『のはらうた』の詩人、工藤直子さん。本書は、ひとへの思いをユーモアを込めてうたう、大人のための「人生の子守歌」です。

　　「ひと」って　せつないね
　　「ひと」って　さびしいね
　　「ひと」って　がんばるね
　　「ひと」って　けなげだね
　　「ひと」って　おかしいね
　　「ひと」って　がんこだね
　　「ひと」って　こわがりね
　　「ひと」って　ふしぎだね
　　そして　それだからこそ

　　「ひと」って　いじらしいね

表題作 「じぶんのための子守歌」に込められた、「ひと」っていじらしいという想いが、全篇を通して伝わってきます。

著者は言います。「子どもの頃のじぶん自身の中身は、『なぜ』 『どうして』
『ふしぎだな』 でできていた。歳を重ねながら忘れたもの、加わったもの・・・　いまの自分を見つめると、『こんにちは』 と 『さようなら』 それがいまのわたしの中身だ。寄せては引いていく波のよう」　

生きとし生けるものが出逢いと別れを繰り返し、愛しいものを探し求める、それが人生。本書は、工藤さんが大きくなった子どもたちに捧げる 「人生の歌」。