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9784309412139
椿の海の記
著者/石牟礼道子 出版社/河出書房新社 サイズ/320ページ 14.5*10.5cm 発行(年月)/2013年4月
販売価格 ¥ 935(本体 ¥850)
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人間の上等さ
『苦海浄土』の著者・石牟礼道子の最高傑作。精神を病んだ盲目の祖母に寄り添い、ふるさと水俣の美しい自然と、こころよき人々に囲まれた幼時の記憶。 山に成るものは、山のあのひとたちのもんじゃけん、 もらいにいたても、慾々とこさぎとってしもうてはならん。 カラス女の、兎女の、狐女のちゅうひとたちのもんじゃるけん、 ひかえて、もろうて来 土や泥がまだ生きていた頃の道の上には、 そのような一日の人生の地紋が、 さまざまに交わりながら残っていた 石もじゃが、木ちゅうもんの一生も面白か。 木になってから何百年も経ってから家になってくれて、 舟にさえなってくれて、焚きものになってくれて、 燠になって、灰になり、それから先も失し足らん。 畑のものを育てたり、こんにゃく煮るとき助けてくれたりする。 この世の成り立ちを紡いでいるものの気配を、 春になるといつもわたしは感じていた。
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