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スナップショットは日記か? 森山大道の写真と日本の日記文学の伝統

CH022-004

スナップショットは日記か? 森山大道の写真と日本の日記文学の伝統

著者/大竹昭子
出版社/カタリココ文庫
サイズ/61ページ 15*10.5cm
発行(年月)/2020年8月

販売価格 ¥ 990(本体 ¥900)

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世間はリモートワークだけど、おれはフットワーク

ハッセルブラッド国際写真賞という、世界の写真家にとってもっとも名誉ある、写真界のノーベル賞とも言われる写真賞があります。2019年、40周年をむかえた節目の年に、森山大道にこの賞が贈られました。
 
本書は、スウェーデンのヨーテボリで行われた授賞式の模様を皮切りに、森山大道の写真の核心を探っていくものです。森山の写真は、街路で目にしたものをスナップショットするという単純な方法で撮られていながら、世界が異界に満ち満ちていることを見る者に突きつけます。

日々歩いて撮るというシンプルさと、それが生みだすイメージとの飛躍。著者はこの2点に注目し、そこにドナルド・キーンが『百代の過客』のなかで指摘した日本の日記文学の伝統が息づいているのではないかと考えます。スナップショットは1950年代、カメラの小型化とともに広まりましたが、世界的には衰退する傾向にあります。ところが、日本では森山大道をはじめとしてこれにこだわる写真家は多く、若い世代にも引き継がれています。そこに平安時代以来の日記文学の伝統がかたちを変えて継承されているのではないか、という著者の指摘は、コロナ禍にあって日記が見直されているいま、さまざまな方向に考えを発展させる可能性を秘めています。

また本書の文章スタイルも、旅紀行やエッセイや評論の要素を併せ持ちながらも、そのどれにも属さない独自なものです。これについて著者はつぎのように述べています。

「写真について書かれた本は、専門用語や思想書からの引用が多く、難解になりがちです。写真はだれでも撮れる身近なものにもかかわらず、それについて語ろうとするとどうして難しい文章になるのか、というのは長らく私の疑問でした。今回の本ではそれに挑戦し、写真の外に立って内部を観察しようと試みました。写真に関心のある人はもちろん、そうではない人にも自然に入り読み終えることができればうれしいです」

本稿の初出は『新潮』(2020年7月号)で、それに6月19日に行った森山大道への最新インタビューを収録して1冊にまとめました。森山の生い立ちや写真との出会いにも触れ、巻末に略年譜が付いた本書は、森山大道の写真を知るための手引きにもなるでしょう。


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<関連書籍>
『超二流の写真家』
『五感巡礼』
『絵のうら側に言葉の糸をとおす』
『室内室外 しつないしつがい』

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